慢性炎症についてのお話
ビタミンDと健康の深い関係について
過去のコラムでも少し触れましたが、ビタミンDと慢性炎症には深い関係があることが、近年の研究で分かってきています。
血中のビタミンD濃度が高い人ほど、がん・糖尿病・心血管疾患などの発症リスクが低い傾向があることが報告されています。特に女性では、乳がんの予防においてもビタミンDの働きが注目されています。

ビタミンDには、体内での免疫バランスを整える作用や、炎症を抑える働きがあるといわれています。具体的には、炎症を促進するIL-6やIL-17といったサイトカインを減らし、逆に抗炎症性のIL-10を増やすとされています。
サプリメントで補う必要性
長年の研究から、食事や日光だけでは十分なビタミンD量を維持できない人が多いことが分かっています。サプリメントを上手に取り入れることで、血中濃度を理想的な範囲に保ち、健康維持に役立つと考えられています。

一般的には、血中ビタミンD濃度が 50〜80ng/ml 程度を目標とするのが望ましいとされています。当院でも、ご希望の方には血中濃度の測定を行っています。数値が低い方は、医師や管理栄養士の指導のもとでサプリメントの補給を検討されるとよいでしょう。
これからの季節はビタミンD不足に注意
これから冬にかけては日照時間が短くなり、太陽の光を浴びる機会も減ります。そのため、体内でのビタミンD生成が少なくなりがちです。
寒さが厳しくなる時期には、インフルエンザや感染症の予防にも関心が高まります。そんな季節こそ、ビタミンDを意識して摂取することが大切です。

ビタミンDが注目される疾患
ビタミンDは、次のような疾患との関連が報告されています(現時点で判明しているビタミンDの効果が期待される疾患です)。
- がん、骨粗しょう症
- 感染症(インフルエンザなど)
- メタボリックシンドローム
- 炎症性腸疾患・自己免疫疾患(慢性関節リウマチなど)
- 歯周病、うつ病、アルツハイマー病
- パーキンソン病、多発性硬化症、統合失調症 など
まとめ
現代の生活では、日焼け止めの使用や屋内で過ごす時間の増加などにより、ビタミンD不足になりやすい傾向があります。
日光浴や食事、サプリメントを上手に組み合わせて、無理のない範囲で体を整えていきましょう。今後もビタミンDに関する新しい情報を更新していきますので、ぜひ参考にしてください。
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