血糖値と虫歯の関係
虫歯は一般的に、虫歯菌が砂糖などの糖分を餌にして歯の表面からエナメル質を溶かすことでできると言われています。しかし、歯の表面には虫歯ができていないのに、歯の内側に虫歯ができることがあります。どうしてでしょうか?
象牙質内の液体移送システム【DFT】
これには象牙質内の液体移送システム【DFT】が関係しています。
DFTとは血清タンパク質と免疫グロブリンを含む血漿由来の液体が、歯の内側から外側へ常に滲み出ている現象のことをいいます。
この液体の中には必要な栄養素が含まれており、このシステムにより歯や口腔内に栄養と免疫力をもたらします。ところが、血糖値が急激に上がる食品を摂取することでDFT液が逆流して、お口の中の菌が歯の中に入ってしまい、虫歯になることがあります。
血糖値の急上昇を防ぐために
血糖値が急上昇することでDFT液の逆流が起こるのですから、逆にいえば、血糖値の急上昇を防ぐ食生活を送ることでDFT液の逆流を防ぐことができるということです。具体的には下記のような食生活を心がけてください。
バランスの取れた食事
◆低GI食品を選ぶ
GI(グリセミックインデックス)は、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖濃度を計ったものです。この数値が高い食品は一気に血糖値を上昇させるため、低GI食品を選んで摂取するようにしましょう。血糖値を上げやすいブドウ糖を基準に100とした場合、一般的には60以下が良いとされています。
◆食物繊維を摂取する
野菜、果物、全粒穀物、豆類などに含まれる食物繊維は、糖の吸収を遅らせる働きがあります。栄養面を考えると『ホールフーズ』、つまり野菜などを丸ごと食べることが推奨されます。日本では農薬の問題もありますが、重曹で洗うことでほとんどの農薬が除去可能です。
食事のタイミングと方法
◆規則正しい食事
空腹時間が長くなると、次の食事で血糖値が急激に上がりやすくなるため、食事は規則正しくとるようにしましょう。
◆食物繊維→炭水化物の順に食べる
前述の通り、食物繊維は糖の吸収を遅らせる働きがあるので、炭水化物を摂る前に食物繊維を摂ることで血糖値の上昇をゆるやかにすることができます。
◆よく噛んで食べる
よく噛んでゆっくり食べると、唾液中のアミラーゼが出て消化を促進したり、栄養素が身体に吸収され、血糖値の急上昇を抑えられます。
日本人に早食いが多い原因として、学校給食が原因という方もいます。給食の時間は準備や後片付けもあるため、実際の食事時間が20分程度しかないと思います。これではゆっくりとした食事ができません。早食いをすると、脳の『満腹中枢』が察知する前に食べ過ぎてしまい、肥満やメタボ、糖尿病の原因にもなるので要注意ですね。若い頃の早食いの習慣は大人になっても直す事ができないので、身体の健康を考えると、学校の給食時間の見直しが望まれます。
参考文献
・DENTINAL FLUID The Life Line of A Tooth
・自然治癒力が上がる食事