食生活が健康にどれだけ大切かが分かるお話
ポッテンガー博士の有名な実験をご存じですか?900匹の猫を対象に、10年以上にわたって「食事が心と体にどのような影響を与えるか」を調べた実験です。
猫の実験が教えてくれる、食生活の大切さ
博士は猫たちを2つのグループに分けました。一方には、猫にとって理想的な健康的なエサを与え、もう一方には本来猫が食べないような不健康なエサを10年間与え続けました。そして、その猫たちの子ども(2代目)、孫(3代目)まで観察しました。
健康的なエサを食べていたグループの猫たちは、2代目、3代目も健康に育ちました。骨格もしっかりしていて骨の密度も高く、毛のツヤも良好。口の中のスペースも十分で、歯の並びもよく、寄生虫などの病気にもかかりにくかったそうです。
一方、不健康なエサを食べていたグループの猫たちは、2代目から体調不良、病気の猫が多く生まれました。3代目になると、着地がうまくできない不器用な猫、皮膚トラブルやアレルギーが急増。さらには、ダニや寄生虫が増えただけでなく、他の猫にかみつくなど、精神的に不安定な行動をとる猫も出てきました。
どうでしょう?今の日本人の食生活や、あなた自身の食事と比べてみてください。
今の私たちの食生活、大丈夫?
戦後、日本の食生活は急速に欧米化しました。
戦前の食事といえば、ご飯に味噌汁、漬物、魚や野菜の煮物などが一般的でした。ところが今では、ご飯の消費量は半分に減り、代わりにパンが増え、肉や乳製品、油っぽい食品や砂糖が多くなりました。
もし、さきほどの猫の例を現代の子どもたちに当てはめると──
2代目にあたる世代では、朝礼で立っていられない子ども、身体は大きいけど体力がない、アレルギーを持つ子が増えてきたと言われています。そしてその子たちが大人になり、次の世代(3代目)では、姿勢が悪い、背中が丸い、疲れやすい、体温が低い、肥満、虫歯や歯周病などが増えてきました。子どもも大人も生活習慣病に悩む人が増えています。
今では、4人に1人が何らかのアレルギーを持っているとも言われ、無気力、無関心、無感動、すぐにキレる──
そんな子どもたちも目立つようになってきました。まるで、ポッテンガー博士の実験で見られた3代目の猫たちと同じ道をたどっているかのようです。
「なぜ4代目の猫の話がないのか?」と思われたかもしれません。実は、十分な数の猫が生まれず、実験を続けることができなかったのです。現代の私たちも同じような問題を抱えています。不妊に悩むカップルは年々増えていますし、スーパーやコンビニに並ぶ多くの食品は、添加物だらけの「超加工食品」。ビタミンやミネラルが不足しているファストフード、化学物質や農薬にさらされた野菜や果物、精製食品など、健康を遠ざける要因があふれています。
このままでは、健康な社会からどんどん離れていってしまうかもしれません。では、これから私たちはどんな食事を心がければいいのでしょうか?少し想像してみて、今日からできることを実践してみてはいかがでしょうか。