虫歯とビタミンK2の関係
虫歯の原因菌は、大きく分けて『ストレプトコッカス<連鎖球菌>』と『ラクトバチラスアシドフィルス<好酸性乳酸桿菌>』に分けることができます。
<好酸性乳酸桿菌>というのは、いわゆる乳酸菌のことです。乳酸菌は、ご存じのように腸内を弱酸性に保ち、免疫系に関与し、消化吸収の補助に役立ちます。プロバイオティクスのヨーグルトや、発酵食品の漬物などを日頃召し上がっている方も多いと思います。
では、もしその乳酸菌が虫歯の原因になるとしたら…?
腸内では大変役立つ仕事をしてくれる乳酸菌ですが、口の中では、未消化の糖質を基にエネルギーを産生して『酸』を分泌します。これが歯のエナメル質に付着すると、虫歯が発生してしまうのです。
ですので、糖質を食べたときには、歯をきちんと磨いて口腔内を清潔に保つことで、虫歯を防ぐことができます。
でも、私たちは毎日、歯ブラシやフロスをし、定期的に歯医者に行って歯石の除去もしているのに、虫歯や歯周病は一向に減りません。なぜなのでしょうか?
歯ブラシで、口腔内の細菌を0にすることは、まず不可能と言われています。ハロルド・ホーキンス博士の研究によると、虫歯のない人の唾液はアルカリ性で、虫歯のある人の唾液は酸性でした。そして、精製食品(パン、クッキー、ケーキ、砂糖など)を常食にすると、唾液が酸性になると指摘しています。
要するに食生活を改善することで虫歯は予防可能で、健康面も増進できる、ということだと思われます。
また、ウエストン・プライス博士の別の研究によると、虫歯の多い患者さんの唾液中には<酸性乳酸桿菌>が高濃度に含まれていて、平均、唾液1ml中に32万3千個も細菌がいたそうです。このような方に、特製のオイルを用いて治療をすると、細菌数は平均1万5千個に減少し、中には実質0になった患者さんもいたそうです。
このオイルとは、グラスフェッドバターから作った<ビタミンK2含有オイル>です。ビタミンK2は日本の食材では、大豆を発酵させた納豆に多く含まれます。
また、ビタミンK2は、膵臓の次に唾液腺に高濃度に含まれます。虫歯の多い唾液と骨片を触れ合わせると、骨片に含まれるミネラルが唾液中に移行します。そして、ビタミンK2で治療後に同じ実験をすると、今度は逆に、唾液中のミネラルが骨片に移行したということです。
骨の中には骨芽細胞があり、歯の象牙質には象牙芽細胞があり、常に吸収と形成を繰り返しています。ビタミンK2を摂取すると骨が丈夫になり(オステオカルシンが産生、活性化して、ヒドロキシアパタイトが形成、骨の石灰化に寄与するため)、さらに血管の損傷を防ぎます(MGPが産生されて活性化することで、動脈壁におけるカルシウムの沈着を阻害するため)。
ビタミンK2が虫歯を抑制するメカニズムは、
- 虫歯菌の減少
- 脱灰防止
- ミネラル沈着作用
と考えられ、骨密度の低下も抑制できるとされています。
天然に存在するビタミンKには2種類あり、緑黄色野菜、海藻類、緑茶、植物油などに含まれる『ビタミンK1』と、腸内細菌によっても合成される『ビタミンK2』があります。
ビタミンK2は、グラスフェッドバター、チーズ、卵黄、納豆などに含まれます。
特に日本人が食べている納豆30gには、約250mcgのビタミンK2が含まれていますので、週に4~5回の摂取がお勧めです。更に納豆キナーゼが含まれていますので、心血管の抗凝固特性(血がさらさらになり、血栓が作られにくくなる特性)が得られやすくなります。
≪参考文献≫
vitaminK2 and the calcium paradox【kate bleue 著】
カラーアトラス栄養学 第8版 ガイヤブックス