お口の健康は全身の健康。一人ひとりに寄り添う「栄養と予防」のアプローチ
こんにちは。札幌市で家族みんなの健康をお口からトータルで守る歯科医院のクラマス歯科です。
前回のコラムでは、今から約100年も前の歯科医たちが、すでに虫歯の原因をお口の中だけでなく「体内の栄養バランス」や「日々の食習慣」に見出していたという歴史的な知見をご紹介しました。
「削って詰める治療」にとどまらず、病気が起こる背景そのものに目を向ける――。この一見クラシックにも思えるアプローチですが、実は現代の最前線の医療現場において、まさに今、大きなイノベーションとして改めて注目を集めています。
治療だけでなく、栄養を通じた予防を
この文章を改めて読み返すと、食習慣が虫歯や全身の健康に深く関わっていることを、あらためて考えさせられます。もちろん、すべての病気や虫歯が食事だけで決まるわけではありません。しかし、毎日の食事が身体をつくる大切な要素であることは間違いありません。
歯科医や医師は、薬を処方したり、虫歯を詰めたり、被せ物を入れたりするだけではなく、病気になりにくい生活を支えるために、栄養や生活習慣についてお伝えすることも重要だと私は考えています。
治療した歯を守るためにも、なぜ虫歯になったのかを一緒に考える。
それが、これからの予防歯科に必要な姿勢ではないでしょうか。
アメリカで始まった医学生への栄養教育
2026年3月、アメリカでは、将来の医師に対する栄養教育を拡充する取り組みが発表されました。参加する医学部では、2026年秋から、少なくとも40時間またはそれに相当する栄養教育を導入する方針が示されています。単に栄養素の名前を暗記するのではなく、次のような実践的な力を身につけることが重視されています。
- 患者さんの食事歴を正確に聞き取ること
- 栄養上のリスクを評価すること
- 具体的な食事の改善方法を説明すること
- 生活習慣を変えるための行動を支援すること
これまでの医療では、薬物療法や高度な医療技術が発展する一方、食事や生活習慣について十分な時間をかけて学ぶ機会が少なかった、という指摘もあります。アメリカで始まったこの取り組みは、栄養を医療の中に改めて位置づけようとする動きの一つとして、私は非常に興味深く見ています。
日本の医療・歯科医療にも栄養教育を
日本でも、厚生労働省や文部科学省、医学部、歯学部が連携し、栄養教育についてさらに真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。虫歯や歯周病はお口だけの問題ではなく、食生活や生活習慣、全身状態とも関係しています。
欧米の取り組みをそのまま取り入れればよいわけではありませんが、日本の医療・歯科医療が栄養という視点で遅れてしまわないよう、患者さんに正確で実践的な情報を伝えられる体制が必要だと感じています。

当院が大切にしていること
当院では、虫歯ができた部分を治療して終わりではなく、食生活や栄養状態を含め、なぜお口のトラブルが起きたのかを患者さんと一緒に考えることを大切にしています。
食事を厳しく制限したり、特定の食品だけをすすめたりするのではありません。患者さん一人ひとりの生活、体調、年齢、ご家族の状況に合わせて、無理なく続けられる健康づくりをサポートしていきたいと考えています。
まとめ
約100年前の歯科医たちは、すでに虫歯を歯だけの問題として捉えず、食生活や栄養との関係を追究していました。当時の考えをそのまま現代に当てはめることはできませんが、「治療だけでなく原因や背景を考える」という姿勢は、今も大切です。
毎日の歯磨きや定期検診に加えて、食事の内容や食べ方にも少し目を向けてみてください。お口の健康を守ることは、全身の健康を見直すきっかけにもなると思います。
参考:オーソモレキュラー医学会 柳澤厚生氏執筆資料ほか
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