今から約100年前の歯科医が考えていた「虫歯と食事」の関係
こんにちは。札幌市でお口のトラブルの原因を栄養から見直す歯医者のクラマス歯科です。
今から約100年前、一部の歯科医は、すでに虫歯と食生活の関係に注目していました。当時の記録には、母乳で育てられ、ジャンクフードをほとんど口にしない子どもは虫歯が少ない傾向にある一方で、良質な自然食品を中心とした食生活を送っていても虫歯になることがある、という観察が残されています。
「自然な食品を食べていれば大丈夫」と単純に考えるのではなく、体内の栄養バランスや食べ方まで詳しく見ようとしていたことに、私は驚くと同時に、昔の歯科医たちの探究心を尊敬します。
当時注目されていたタンパク質・カルシウム・リン
当時の歯科医は、虫歯の背景には体内の栄養バランスの乱れがあるのではないかと考えていました。特に、菜食中心の食生活を送る方については、タンパク質やリンが不足しないよう注意する必要がある、という考えが示されています。カルシウムが歯や骨に大切であることはよく知られていますが、リンも歯や骨の構成に関わる重要なミネラルです。
リンは、次のような食品に含まれています。
- 肉
- 魚
- 鶏肉
- 卵
- 豆類
- ナッツ類
- 穀類
当時の記録では、1万人以上の患者さんを診察した経験から、植物性食品だけで必要量を補うよりも、動物性食品も取り入れた方がリンを摂取しやすい、という見解が述べられていました。
ただし、必要な栄養量や適した食事内容には個人差があります。特定の食品だけに偏るのではなく、体質や生活背景に合わせて全体のバランスを考えることが大切です。
果物や野菜のジュースにも「摂り方」があります
果物や野菜は、健康的な食品という印象があります。しかし、当時の歯科医は、果物や野菜のジュースを大量に飲む習慣にも注意を向けていました。果物ジュースや甘い果物、蜂蜜などには糖質が含まれます。摂取する量だけでなく、何度も少しずつ口にする習慣があると、お口の中が酸性に傾く時間が長くなることがあります。
特にお子さまの場合、次のような習慣には注意が必要です。
- 果物ジュースを水分補給のように何度も飲む
- 甘い果物や蜂蜜を長時間かけて食べる
- 間食の回数が多い
- 就寝前に糖質を含む飲食物を口にする
虫歯は、食べた糖質をお口の中の細菌が利用し、酸を作ることで歯の表面が溶けるところから進行します。甘い食品だけでなく、食べる回数や時間も大切です。
穀物も「食べ過ぎ」には注意を
当時の記録では、果物や蜂蜜を多く摂っていない子どもで虫歯がみられる場合、穀物の摂取量にも注目していました。パン・麺・菓子類などに含まれる炭水化物は、口腔内で分解され、虫歯の原因菌が酸を作る材料になることがあります。そのため、穀物そのものを一律に避けるのではなく、精製された炭水化物に偏っていないか、間食として頻繁に口にしていないかを見直すことが大切です。
食品に「良い・悪い」と単純な線を引くのではなく、量・頻度・組み合わせを考えることが、虫歯予防につながります。
ビタミンDと脂質にも注目していました
当時は、ビタミンDや必須脂肪酸を補う食品として、タラ肝油が利用されていました。ビタミンDは、カルシウムの吸収や利用を助け、骨や歯の健康維持に関わる栄養素です。ただし、タラ肝油やビタミンDのサプリメントは、多く摂ればよいものではありません。体調や食生活、服薬状況によって適した量が異なるため、使用を検討する場合は医師や歯科医師などに相談することが大切です。
魚の選び方について考えていたこと
原稿の中では、農作物の汚染を心配する一方で、深海魚など自然環境で育った魚を評価する考えも紹介されています。ただし、魚は種類や生息地域によって、含まれる栄養素や環境由来物質の量が異なります。一つの魚だけを大量に食べ続けるのではなく、種類を分けながら、肉・卵・大豆製品など、ほかのタンパク源と組み合わせることが現実的だと思います。

ウェストン・プライス博士が注目した「ファクターX」
歯科医師のウェストン・プライス博士は、春の青々とした牧草を食べて育った動物から作られたバターに、健康と関係する未知の成分があると考え、これを「ファクターX」と名付けました。博士は、このバターを食べていた人々の健康状態を観察し、季節や飼料、動物の育つ環境が食品の栄養価に関係するのではないかと考えたようです。
また、当時のカリフォルニアでは、乳牛の多くが青草ではなく乾草を与えられており、博士が求めるようなバターは手に入りにくい一方、ニュージーランドでは入手できると記されていました。「何を食べるか」だけでなく、「その食べ物がどのように育てられ、作られたのか」にまで目を向けていた点は、現代の私たちにとっても興味深い視点ではないでしょうか。
約100年前の考えを、そのまま現代医学と同じにはできません
ここまで紹介した内容には、約100年前の観察や経験に基づく考えが含まれています。
現在、虫歯は一つの原因だけで起こるものではなく、次のような複数の要因が関係する病気と考えられています。
- 歯垢に含まれる細菌
- 糖質を摂る量や頻度
- 唾液の量や働き
- 歯磨きなどのセルフケア
- フッ化物の利用状況
- 歯の形や質
- 生活習慣や全身状態
したがって、タンパク質やリンを摂れば虫歯にならない、特定のバターや魚を食べれば健康になる、という意味ではありません。それでも、昔の歯科医が、削って詰めるだけではなく、虫歯ができる背景を食生活や全身状態から考えようとしていた姿勢には、学ぶところが多いと思います。
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